時事通信社発行の「金融財政」2008年7月28日(月)号に当社会長 車田のインタビューが掲載されました
改革が急ピッチで進む国内商品先物市場について、東京工業品取引所が導入を決めた世界最高水準の取引システムが稼動する来年5月が転換点になるとの認識を示したことや、商品取引の存在意義、取引時間の延長、今後の展望などについての内容となりました。
(インタビューの要旨は以下の通り)
時事:商品取引の意義とは?
車田:行政官時代、商品取引の存在意義は三つあるとの結論に至った。
法の目的である「産業インフラ」、資本主義経済における「公正な価格指標の形成」
「価格変動のリスクのヘッジ」ということだ。
時事:国内市場は出来高が激減しているが、どうみるか?
車田:国内の商品市場の約8割は、商品取引会社の自己ディーリングと個人投資家の取引となっている。
出来高の減少は勧誘規制の強化や、純資産規制比率の導入が原因だ。自己ディーリングと個人投資家以外の(当業者などの)取引が増えない限り市場は縮小してしまう。
時事:商取会社も減っているが・・・。
車田:監督官庁の商品取引に対する検査、処分能力が向上したことを背景に、廃業・倒産に追い込まれるケースが増えている。98年に18年ぶりの行政処分を科したが、それまで法令違反がなかったわけではなく、処分しきれなかったのではないか。
また、最近では分離保管義務違反や行為規制、断定的判断の提供などの違反事実を次々に摘発している。
時事:現在の市場参加者の動きは・・・。
車田:一度出来高が低迷すると、そこで取引したい人でさえも、思った通りの取引ができないことがある。かつて国内商品市場で活発に売買をおこなったあるトレーダーは現在、海外の商品市場や証券先物のトレードを行っている。
他の流動性の高いマーケットに移る動きが急速に広がっている。
時事:総合取引所化構想をどう評価するか。
車田:07年の政府の経済財政諮問会議で「商品先物市場の変革」が議題に上った。「貯蓄から投資へ」の時代となり、約1,500兆円の個人の金融資産の振り向け先として商品取引が注目されている。地価や人件費が安いところにシフトする物作りと異なり、金融サービスはロンドン、ニューヨークもそうだが、人件費が上っても、それなりの技術とビジネスの集積があれば発展していく性質があるからではないだろうか。
時事:なぜ商品取引が取り上げられるのか。
車田:98年の商品取引所法の改正時、システム取引は欧米よりも東工取のほうが進んでいた。ところが、海外でシステム取引が急速に広がり、日本の夜間などでも取引が可能になった。
日本の取引所は会員組織で意思決定が遅く、収益を増やすことに対するガバナンスも弱い。海外が24時間化されたことで、ロンドンやニューヨークの市場だけでよくなった。
こうした状況下で、国内市場のテコ入れを行うのであればラストチャンスである、との見方から、国際的に通用する金融市場つくることを狙いとして自民党の勉強会、民主党でも商品先物が議論されているという政治の側からの働きかけもある。商品取引の重要性が議論されているということで、良いことだと考える。
時事:監督官庁の対応をどう評価するか。
車田:経済財政諮問会議に経済産業省が素早く対応した。
国際的に通用し得る取引所ができることを目指す目的で、研究会を1ヶ月で取りまとめている。
例えば、流動性を増やすための方策が議論された電子取引普及部会では、オブザーバーだった東工取が24時間化を提案した際、対面中心の取引会社は人件費がかさむとして反対していたが、その後わずか1年余りで取引時間が2時間延長され、09年5月には新システムを導入し24時間化することが決まった。
また、中部大阪商品取引所が新システムを導入する際に業界で議論になった取引システムの共通化については、東京穀物商品取引は次世代のザラバ取引で、東工取のシステムを使うこととなった。
時事:取引所の改革をどう進めるべきか。
車田:流動性の低迷からの脱却は、東工取の新システム稼動が転換点になるだろう。
まず、23時まで取引時間を延長することで、?夜間の取引のニーズが取り込める、?ロスカットルールで個人投資家のリスクが低減し、出来高が大幅に増えたFXと同じ状態となることが予想される。
また、システムの性能が向上することで、プロップハウス(システムによる自己売買専門会社)や、世界のディーラーの注文が集まる可能性も出てくる。
時事:取引所に対する要望は?
車田:東工取は24時間化に伴い、15時半に取引をいったん終了させ、その後、夜間取引を17時からスタートさせる。一方で東穀取は現行の15時までの取引を17時半まで延長する方針だ。
これにより、一部の時間で当日分と翌日分の取引が混在する形となってしまう。
監督官庁が1ヵ所になる必要性はないが、東京の取引所は一つになるべきだ。システムが一緒になるなら、別々の取引所にする必要はない。注文端末が一つになり、コストも削減される。
また、マーケットメーカー制度の導入で、流動性を増やすことを考えて欲しい。
流動性の低下で、当業者やディーラーは海外に注文を出している。本格的な形で流動性のための、てこ入れ策を実施しなければならない。
時事:今後の展望や取り組みについて一言。
車田:金ミニ取引を拡大していく。
分散投資やテクニカル投資を紹介するセミナーでは、金ミニを具体例にして説明している。分散投資で金をもつ場合、一番割安な商品先物市場でロールオーバーすればよいと思う。また、09年にも始まる東穀取のトウモロコシのミニ取引にも期待したい。
お客様にとって少ない金額で取引できる。身近なお薦め商品になるはずだ。



